新納 翔 連載#03 写真と言葉|日本の インスタグラマー コミュニティ IGersJP
お疲れ様です。新納です。
今回は写真に言葉を添えることについての話(ちょっと飛躍してますが)をしてみようかと思います。
真実を写すと書いて写真と読みます。
写真という言葉ができた頃、まだ写真というものが芸術と認識されていませんでした。
それどころか、写真がアートとして認識されるようになるまで約百年かかりました。
写真史に精通しているわけでないので、あまり話すとボロがでそうですが、
写真がアートとして認知されたのはここ十年だという見方さえあります。
それまでは写真の持っている記録という力が多大な影響力を持っていたのです。
俗にいう報道写真ですね。
写真と絵画の違いは、「かつてそこにあった」景色を拝借してくるわけだから、それ以上,以下の景色が
存在していたはずがないという前提があるのですね。
この前提というのも大衆の思い込みに過ぎなかったのかもしれません。
時に写真は、政治的プロパガンダとして悪用されたりもしました。
有名な一例として、赤の広場でウラジミール・レーニンがロシア革命の2周年を祝賀している様子を納めた写真があるのですが、
レーニンとともに革命を指導したレフ・トロツキーが、「好ましからぬ人物」となり、消し去られているものがあります。
全ては写真が真実を述べているのだと、信じている前提から始まるのです。
しかしながら、CG技術が発達した現在では写真を疑うという行為はかえって自然でしょう。
僕はこの所Instagramで、あえて時代を遡ったような加工とでたらめなキャプションをつけて遊んでいます。
この写真のタイトルは「iPhoneスナップ 1929 横浜」と全くのデタラメ。
よーく見れば嘘やないか!となるのですが、一見騙されてしまう人もいるかもしれません。
加工にはIrisと前回説明したノイズアプリを使っています。
もしこれを信じてしまったのなら、この4桁の数字と,写真に付けられたキャプションは正しいものだという前提があるからでしょう。
人は賢いが故に勝手に補間した情報によって自分自身を騙してしまうのでしょうね。
こういう事を日本でいち早くやったのはアラーキーこと、
荒木経惟の「偽日記」(1980)。コンパクトカメラの日付け写しこみ機能を逆手にとって、ウソの日付で撮っているのです。
そして皆まんまとだまされる、面白いものですね。
写真にキャプションを付ける人は多いと思いますが、この言葉の重みは写真と同程度重いものなのです。
上の写真のキャプションが「横浜。肉まんはおいしかった~。」などでは全く受ける印象が異なってきます。
写真が真実を写すかどうかはさておき、嘘をつく為のツールになりえる事だけは確かだと思います。
写真に言葉を添えるって事がどれだけ重大な意味を持ち、その写真を左右するか一度考えてみてはどうでしょうか。
【編集後記】
えんぞうは写真家ではないけれども写真に言葉を添える事にとても慎重だ。
当然テクストと写真がセットになって作品として機能すべき表現がある。
問題はそうではない場合だ。
コップに半分水が入っている写真に、
水が半分しかないと書くのか、水が半分も残っていると書くのかで、
理解の地平は真っ二つに割れる訳だから。
新納氏(荒木氏)がタイトルやテクストで嘘をつくのは、
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